【最新更新日 : 2016年03月22日 火曜日

2015年の読書履歴(№3-3)

★ 評価は、私の独断と偏見でつけたもので、読んだ時点で「ん、これは良かった!」と思った本です。
  本そのものの良し悪しとはまったく関係ありません。☆はイチ推し、◎は、おすすめの本です。
NO 了月 書 籍 名 著 者 出 版 社 評価 抜き書き

23

15.03


間違いだらけの抗ガン剤治療 

梅澤 充

ベスト新書

はじめに

・ガン細胞を殺す抗ガン剤は、毒薬でもあり、人間の正常な細胞までたくさん殺してしまいます。従ってガン細胞をたくさん殺そうとして抗ガン剤の量を増やしていけば、その人間までも生きていけなくなります。そこで、患者さんが死なない範囲内で、可能な限り大量の抗ガン剤を使いガンを縮小させていこうという思想のもとに成り立っているのが標準的抗ガン剤治療です。そこには、辛い副作用が発現するのは当たり前のことであり、患者さんはそれを我慢しなければならない、という考え方があります。
・私はこの “標準的抗ガン剤治療” に限界とむなしさを覚え、まったく別の角度からガンという病気を考える免疫治療の勉強もしてきました。
 その相反すると “誤解” されている、二つの治療法を実際に見て実行してきた人間として、現在の、正しい知識が与えられず、様々な不確実な情報が錯綜し、誤解だらけであるがゆえに、いちばん望まれる、ご自身に合った治療法にめぐり合うことができないでいる多くのガン患者さんを見るにつけ心が痛みます。
 そのような多くの患者さんの治療法選択の一助となることを祈って本著を著わしました。


第1章 ガン治療の基礎知識

1 ガン治療の三本柱
・抗ガン剤治療と免疫療法は、現在一般的に反目しあう治療であるかのように誤解されていますが、実は両者が一体となった時、お互いの治療効果が最大限に患者さんの幸福を導き出すものであると考えられます。

2 ガン治療の原則
・ガンは大きくならなければ、怖い病気ではありません。「ガンを小さくするのではなく、大きくさせないことだけを考え、うまく付き合う方法」はあります。

健康食品と薬は根本的にちがう
・健康食品は、はっきりとした薬効が認められないから、薬としては認可されないのです。薬と健康食品とは、根本的に違う代物であることを、忘れないで下さい。
・薬とは、副作用もありえますが、その “副作用に勝る、薬効・治療効果が認められる” から、厚生労働省も “薬品として承認” しているのです。
・ほとんどの健康食品において、それだけでは “科学的に証明された治療効果は存在しない” ことがわかります。

ガンは増大しなければ恐くない
・切除不能のガンが治る可能性は低いことは事実ですが、もっと確実な現実があることを、多くの患者さんが、ガンであるという診断を受けたその時にすっかり忘れてしまっています。
 それは「すべての人間は必ず死ぬ」という現実です。
・たとえ、治らないガンを背負って、それが増大しないで長生きできていても、その患者さんは、いずれ必ず、寿命を終えます。天寿です。
 ガンが小さくならずとも、その消えることのないガンと、うまく同居していれば、いずれ神様の自然なお迎えが来ます。
 もし何らかの治療によって、治らない病気を背負いながらも天寿を迎えるような状況ができたとすれば、それは、治ったと同じくらいの価値のある治療ではないでしょうか。

4 「五〇%の人に効く」といわれたらどうするか?
いかなる戦いも、相手を知ることから始まります。
 相手を知らないで、勝てる戦いはありません。それと同時に、現在のご自身の “武器の性能” も充分に把握しておかなければなりません。
 冷たい言い方かもしれませんが、相手の強大さを知って、戦いを諦めて白旗を振ることも一つの重要な戦法だと思います。相手を知らずに、そしてご自分の “戦力” も知らずに無理な戦いを挑んで、無惨に打ち負かされるよりは、よほどましです。
・もし患者さんがご自分に合った最善の治療法を見つけたいと考えるならば、相手を知ることは、避けて通れない道です。そして同時にそれに対する、手術・抗ガン剤・放射線治療という “現在の通常兵器” の実力も十分に認識しておかなければなりません。

6 ガン患者さんの誤解
一つでも再発病巣が発見されたならば、血液の中にガン細胞が侵入したことを意味しますから、多くの場合、それはもはや全身疾患と考えなければなりません。
・「ガンが、手術した場所以外の身体のどこかに再発をきたした時、多くの場合取ることができません」と言いましたが、言い換えれば、それは「再発では、多くの場合、手術ができません。手術は無駄な場合が多い」という意味です。
・転移・再発とは、はじめの手術前に、すでに血液の中に小さな小さなガン細胞が入り込んでいることを意味します。手術後のある時、たまたまレントゲンなどの機械の目で発見されるまでに増殖をきたしたのは、ほんとうに一カ所だけだったということもあるかもしれません。もしそうであれば、根治手術も可能です。しかし、一般的には、ガン細胞が一つだけ血液に乗ってそこに飛んでいったことは考えられません。ほとんどの場合、無数のガン細胞が体中のあちこちに飛び散らかっている状態なのです。しかし、一〇億個にまではまだ達したおらず、見えないだけのことです。


第2章 抗ガン剤治療の嘘と真実

1 切除不能ガンに抗ガン剤は必要不可欠
・切除不能ガンに抗ガン剤は必要不可欠。しかし、奏効率(治療によりガンが半分以下の大きさになった患者さんの割合)の向上だけ追い詰める現在の抗がん剤治療では、患者さんはつらい思いをするだけで決して満足がいくほど長生きすることはできません。
 それは、患者さん自身の体が持っている「ガンに対抗する力」、いわゆる “腫瘍免疫力” をも殺してしまうためだろうと思われます。

2 抗ガン剤治療の治療成績の現実
・現在の “標準的” とされる抗ガン剤治療では、その数カ月程度の効果しか期待できません。すなわち、切除不能のガン患者さんは、残念ながら今の “標準的抗ガン剤治療” では、完治することはほとんど望めないどころか、「辛い思いをしても数カ月の延命」しか得られないのです。

3 抗ガン剤治療は気休め治療か?
・抗ガン剤は一定の期間使い続けると、効果がなくなってきます。そうなるとガンはアッという間に大きくなり、患者さんの命を奪う大きさにまで成長してしまいます。

8 奏効率と生存期間の関係
・免疫力だけでガンが縮小するなどということはほとんどありません。しかし、ガンの増大を阻止しようという健気な免疫力は、確実に存在しているのです。


第3章 抗ガン剤治療の実情と問題点

1 標準的抗ガン剤治療とは
・現在の “標準的抗ガン剤治療” では、妥協できる副作用の範囲で可能なかぎり大量の抗ガン剤を患者さんの体内に入れようとします
 しかし人の体に入った抗ガン剤は、まったく礼儀知らずの “暴れん坊” です。だれかれかまわず殺しに行きます。彼は、ガン細胞だけではなく、正常な細胞もたくさん殺してしまいます。


第4章 抗ガン剤以外のガン治療(代替療法)

1 免疫療法
・発生した「ガンの存在そのものが、免疫を活性化させる最高の刺激」になっている。

3 健康食品
・免疫活性を上げる最大の原動力は、ガンそのものです。

4 サリドマイドの効果
・ガン患者さんの寿命は、笑いが多いほど長くなるという、科学的な統計データも存在します。

5 その他の治療
・いずれの治療を選択(併用)されるにせよ、残念ながらガンを治す治療は、存在しない事実だけは忘れないで下さい。
 その事実は、もしその治療が有効であった場合には、一生涯その治療を続ける必要があるということを意味します。
 従って、選択される治療は、肉体的および時間的、さらに経済的に必ず一生涯続けられるものでなければなりません。


第6章 極少量の抗ガン剤と免疫力で長生きできる!

2 現在の私のガン治療
・私の治療は、ガンという現代の人間に対する最強の敵に対抗するために、害にならないものならば何でも使う、という考え方の治療です。ただし経済的に許される範囲で・・・・・・。

5 ごく少量の抗ガン剤で延命を狙う
・免疫力だけでは、治療効果はないものの、わずかな抗ガン剤を使うことで、免疫力が生かされる。
抗ガン剤はその使用量が多くなればなるほど、免疫細胞もたくさん殺してしまいます。
抗ガン剤が少なければ免疫細胞もそれだけ多く生き残れるはずです。
・患者の事例
 抗ガン剤の量を減らしたがために増加したであろうと思われる免疫細胞が働いてくれたことにより、腫瘍マーカーの減少、すなわちガンが軽快方向に向かった。
 体内では、ガンの存在により免疫活性が高くなっており、さらにそれを健康食品が後押ししてガンと戦う準備態勢がしっかりできていたために、それを阻害しない量の抗ガン剤が有効に作用した。

指標は患者自身が自覚する副作用
・免疫力をそがないレベルのごく少量の抗がん剤治療は、非常に有効ではないかと考えられます。

6 切除不能のガンがあっても自覚症状はほとんどない
・不幸にしてガンという病気で亡くなられる場合、その経過の九割程度は、普通に生活できる状態でいられる。

7 ガンと同居する休眠療法
・“休眠療法”「ガン細胞をたくさん殺すことばかり考えるのではなく、ガンと同居して長生きしよう」という療法。
・私の場合は、抗ガン剤治療は絶対的に必要ですが、せっかく神様が授けてくれた、ガンの増大を食い止めようとする “健気な免疫力” も使っていこうという、少々欲張った治療法です。
・副作用と治療効果とは、まったく関係ありません。むしろ同じ治療をしたのであれば、副作用が出ない患者さんの方が、治療効果は大きいように思います。
・ガンに対する免疫力は存在します。何百万年も生き続けている人間の持っている本来の力は多少信じてよいのではないでしょうか。

8 現在では、皮膚の傷に消毒剤は使わない
・今では、傷は消毒せずに、ただ清潔な水、または生理食塩水できれいに洗い流し、その皮膚の上を傷が乾燥して表面の細胞が死んでしまわないように、サランラップのようなもので覆うだけにする処置が、主流になりつつあります。
・消毒をし、ばい菌を殺すということは、傷ついた皮膚表面の細胞をも殺すことになり、皮膚の再生を遅らせることがわかってきたのです。
・人間の自然の力に任せたほうが、傷の治りは速く、また傷跡がきれいになることがわかってきたのです。
・そもそも自然界では、ただ傷口を自分で舐めて洗浄するだけです。
 それだけで、傷は自然に治癒してゆきます。
動物の体は、自分に不都合な事態が発生すれば、それをなんとか回避し、元の状態に戻そうとする本能が備わっているのです。

・ガンが不治の病から、治る病気になってきたのも、ひとえに人間の英知を結集した医療の進歩のおかげです。
 しかし、そればかりに頼りきって、それが唯一絶対であるように思いこむ考え方は、せっかく神様が授けてくれた素晴らしい本能を、むしろ阻害してしまう可能性があります。人間の英知が、いかに優れていても、五〇〇万年とも七〇〇万年ともいわれる人類の歴史が培ってきた “生き抜くための本能” には、まだまだ遠く及ばない部分も多分に存在することは、忘れない方が得だと思います。
人間の英知の結晶である素晴らしい近代医学の技術も使い、さらに神様の贈り物を最大限有効に活用することが、いちばんの得策です。
・恐らく、漢方医学・東洋医学も何千年もの歴史をつみ重ね、人間の幸福を追求してきた学問でしょうから、私のようないわゆる西洋医学しか学んでこなかった医者には、大いに勉強になる部分もたくさんあると思います。また、その西洋医学に慣らされている日本の患者さんにも、大きな救いを与えてくれる側面も多分に持っていることと思います。