【最新更新日　：　2017年04月17日月曜日 】

２０１７年の読書履歴（2017-24）

★ 評価は、私の独断と偏見でつけたもので、読んだ時点で「ん、これは良かった！」と思った本です。
　　本そのものの良し悪しとはまったく関係ありません。☆はイチ推し、◎は、おすすめの本です。

№	了月	書籍名		著者	出版社	評価	コメント＆抜き書きへのリンク
24	17/03		赤い中国消滅	陳破空	扶桑社新書	◎	まえがき中国を知らずに日本の安全は語れない・かつて中国自身、尖閣諸島は日本領であるとハッキリ認めていた。・中国の野心の大きさ、強硬な態度は世界を驚かせている。・「日本の経済支援なくして中国の現代化はあり得なかった」ことは、かつて中国共産党の指導者自身も認めていた事実である。・今日、軍国主義に突き進んでいるのは日本ではなく中国である。・内に対する専制は必然的に外に対しては横暴に変わる。「外交は内政の延長」だからである。自国の国民をよく扱わない政権が他国の国民をよく扱うはずがなく、国内で理を説かない政権が国外で理を説くはずもない。国内で法を踏みにじる政権が国際ルールを遵守するはずなどないのである。・中国共産党の毎年の治安維持費（政権を守るために用いられる）は、国防費を超えている。これが示すものは中国は内部に抱える敵が外の敵よりも多くなっており、赤い中国が末日を迎える日も遠くはない。第一章　私の物語　苦難を乗り越えた民主化の闘士三節　私と天安門事件・天安門事件とは、１９８９年の中国民主化運動と、運動が中国政府による鎮圧によって終末を迎えたことを指す。海外の華人を含む中国社会ではこの事件を八九民主運動、あるいは六四虐殺と呼んでいる。・八九民主運動は中国の３００以上の都市で発生した。五節　獄中の一通の手紙　ほかに選択肢はない ●再び難に陥りスパルタカスのような日々・香港から強制送還された時は、裁判が開かれず、すぐさま「労働教養」という名の刑が２年下された。２か月後、私は広州郊外の赤坭鎮にある広州市第一労教所へと送られた。・長時間の重労働が科せられ、まるで度を越した懲罰のような日々が続いた。・そこでは、囚人は一日１４時間以上、夜中まで働かされる。急ぎのときには、徹夜の作業を強いられることもあった。・囚人たちは完全に看守幹部の金儲けの道具になっていたのである。・看守幹部らと彼らが指名した囚人頭は労働監視グループを組織し、３００人を超える苦役囚人の労働を厳しく監視していた。囚人頭は班長や組長と呼ばれる。彼らは少しの良心の呵責も感じずに嘘をつくので、班長、組長になれたのである。あるいは、家族が看守幹部に袖の下を贈って関係を築いたので、自分たちは労働を免除され、ほかの囚人たちの労働状況を監督する。このため通称「サボリ屋」と呼ばれている。・虐待、暴力、恐怖がここの日常の光景であった。・原因があろうとなかろうと、監視者たちには囚人を虐待し殴打する理由が常にあった。・多すぎる生産任務を達成できなかったとき、あるいは作業中にひと休みしたり、一口の水を飲んだり、あるいはちょっとだけ不平を言ったり、ほんのちょっとの不満を示したりしただけで囚人たちは殴られた。第二章　赤い中国　その落日一節　尖閣諸島　北京の折り重なる思惑 ●破壊行為を先導したのは私服警察官だった・「反日デモ参加者」は皆、現地の城管（※都市管理局の治安維持員）であった。・反日デモで私服警察官が次々と正体を露呈した結果、中国政府こそが反日のペテンを演じ、騒ぎを起こしている張本人であることが暴かれた。・変装した私服特務を民衆に紛れ込ませ、打ちこわしや焼き討ちといった破壊行為を先導するのは、中国共産党がしばしば用いてきた手法なのである。・例えば、チベット人やウイグル人は、民族としての権利向上を中国政府に求め続けてきた。これに対して中国共産党の私服特務は、チベット人やウイグル人に扮して暴力行為をおこなう。平和的な請願行動を暴力化させ、武力で鎮圧する口実を得るためだ。民族の願いを訴える者たちに犯罪者の汚名を着せ、民族問題を単なる刑事事件に矮小化させて押しつぶそうという魂胆である。 ●毛沢東は抗日ではなかった・本物の毛沢東は反日でも抗日でもなく、むしろ媚日であったことはすぐにわかる。日中戦争の際、毛沢東は抗日を装いながら、陰で日本軍と通じ、共同で当時の中華民国政府を瓦解させたのだ。・（１９８６年、佐々木更三社会党委員長との会談にて）毛沢東は言った。　「もしも日本の侵略がなければ、我々（共産党）は今も山中にあったであろう。感謝するならば、私はあえて日本皇軍が中国を侵略したことに感謝する」・そもそも、中国共産党が政権を樹立した後、毛沢東は尖閣諸島は日本の領土であるとはっきり認めている。・将来も政治的な必要があった際には、中国共産党は再び民衆を挑発して反日デモを起こさせ、国内の民意であると偽って、外交上の駆け引きに使おうとするだろう。 ●批判の鉾先が政府に向いた途端すぐさま鎮圧・この反日デモのなかで、表向きは日本に対る抗議に見えるが、暗に中国共産党政権に対する風刺をこめたスローガンを打ち出す者が出始めた。・「どうやって国家の領土・・・釣魚島を取り戻すか？　ああそうだ、城管と中国の汚職役人を（戦場に）行かせればいい」という標語を掲げ、民衆が「政治改革を！」「自由を！」と叫んで、政府のビルに押しかけてきたとき、当局はすぐさまブレーキをかけた。・騒ぎが始まって以来、反日デモの報道を避け続けて来た中国共産党の御用メディアは、それまでの放任と黙認から、ついに方向転換し、「理性愛国」を民衆に呼びかけ始めた。・ただ傍観していただけの制服警察官もばねのように跳び上がって大挙出動し、デモの鎮圧に向かった。こうして反日の「怒りの火」はすぐさま収束したのである。・群衆の政治運動を操るのがお手のもので、その手法をよく心得ていることを、中国政府はここでも再び世界に向けて証明した。・彼らにとって唯一頭の痛い問題は、インターネットで互いにリンクし合うこの時代、不運にもネット市民の「人肉検索（※）」に晒されて、陰謀が暴露されてしまうことである。　（※）「人肉検索」　＝　多数のユーザーが、ネットで公開されている情報と断片的な非公開情報を収拾し、これを総合して個人の氏名や所属組織を特定すること。 ●胡錦濤「日本の経済支援なくして中国の現代化はなかった」・２００８年、胡錦濤が日本を訪問し、「日本のＯＤＡがなければ、現在のような中国の現代化はなかった」と自ら語った。・今日の中国共産党が反日の旗を掲げ、反日の嵐を起こした心理的動機を洞察できる。反日を喧伝することにより、当時の中国共産党と日本占領軍が密かに合作した事実を隠蔽しようとしているのだ。・日本との戦争中に、日本軍と協力していた中国人は、通常、中国では「漢奸」と見做される。日本の経済援助が中国共産党政権を救ってきた秘密を、反日という仮面を借りて覆い隠したのである。 ●毛沢東と周恩来「尖閣諸島は日本のもの」・中国側は第二次世界大戦後に「下関条約」（※日清戦争の結果として、台湾と澎湖諸島が日本に割譲された）は破棄されており、尖閣諸島は台湾、澎湖諸島と同じく中国に返還されるべきだと考えているが、日本側は同条約には尖閣諸島は含まれていないと指摘している。・１８９５年から１９４５年まで、日本は５０年間にわたって尖閣諸島を実効支配してきた。第二次世界大戦後、尖閣諸島は琉球諸島の一部として米国の統治下に入り、１９７２年、米国は尖閣諸島を含む琉球諸島を日本に返還した。・１９４５年から１９６９年まで、中華民国あるいは中華人民共和国の地図に尖閣諸島が組み込まれたことはなかった。・１８９５年から１９７１年までの７６年間に、中国政府はただの一度も尖閣諸島の主権に関して異議を唱えたことはなかったのだ。・１９２０年に中華民国駐日領事が日本に贈った感謝状には、「日本帝国沖縄県八重山郡尖閣列島」と記述されている。・１９５３年から１９５８年までに中国共産党機関紙「人民日報」が発表した社説と論文は「琉球諸島は尖閣諸島を含む」と指摘したうえで、「これらの島嶼は過去いかなる国際協定においても日本を離脱したとの規定がなされていない」と認めている。・しかし１９６７年、国連の専門家グループが尖閣諸島海域に大量の石油と天然ガスが埋蔵されていることを発見すると、周辺国の関心に微妙な変化が表れる。・１９７０年から台湾と中国は相前後して尖閣諸島に対する主権を主張し始めた。また、同年から台湾、香港、在来華僑のなかから保釣活動家や保釣団体が現れ、保釣運動が起こり始めた。 ●尖閣諸島を狙う北京の折り重なる思惑・日本と戦火を交わすぎりぎりの線まで近づく強硬姿勢を示して、中国共産党は尖閣諸島を奪い取ろうとしている。・具体的な行動の第１段階としては、中国船の尖閣諸島海域における「巡航」を常態化させて徐々に日本側をこの状態に慣らせ、「個別巡航」から「共同巡航」にする。そして日本側にこの島嶼を巡る紛争があると認めさせ、さらに一歩進んで、国際社会に尖閣諸島に主権争いが存在するという「既成事実」を作り出すことにある。二節　最大の国家機密　腐敗が最高潮に達する人民解放軍 ●軍隊に都市出身男子と農村出身女子が多い理由・大学や公務員試験に受からなかった場合に、子どもの進路をどうするか。中国の親たちは苦慮の末、世間体も保たれる軍隊に入れようと殺到する。かくして人民解放軍は大人気の就職先となり、入隊するにはそりなりに金が……つまり賄賂が横行している。 ●昇進にすら売買がはびこる軍隊・軍隊で昇進するためには、賄賂はごく日常的なものとなり、金額もさらにはね上がる。三節　見せかけだけの張子の虎　人民解放軍 ●果たして戦争できるのか？　習近平にさえわからない・権力を愛し国を愛さず、金を愛し人民を愛さない政権が「国家を守る」など、国民にとってとうてい期待しがたいことである。五節　習近平　利益集団の傀儡 ●習近平を押さえつける利益集団・今の中国で、統治集団の内部から政治改革が発動されるのは、歴史上のいかなる時代よりも、世界のどの国よりも困難なことである。・もし本当に反腐敗を目指すなら、たったひとつのことを実行するだけで解決する。法律を作って役人の財産を公開することである。もしそれができないなら、反腐敗は偽りである。・今の中国に最も欠けているものは政治改革である。政治体制の改革はまた、経済体制改革のさらなる真価を導き出す前提となる。「反腐敗」と「改革」は皆、偽りのスローガンなのである。 ●習近平の中国夢・２０１０年、軍のタカ派で国防大学教授の劉明福が『中国夢　ポストアメリカ時代の大国の思想と戦略的位置付け』という著書で、　「中国と米国が戦争をしないためには、中国は強力な軍隊を備えなければならず、米国に対していかなる幻想も抱いてはならない」　と主張している。 ●世襲制　順番を待つ太子党・革命から執政まで、敵を討ってから敵の陣地に居座るようになるまでの間に、中国共産党の革命スローガンはその実質において変質を起こしている。・「地主を倒して皆で平等に田畑を分け合う」は「地主を倒して我々（共産党）で田畑を分け合う」に、「人民のために働く」は「人民元のために働く」に、「警戒を高め祖国を守る」は「警戒を高め政権を守る」に、「徹底的に革命をおこなう」は「徹底的に世襲をおこなう」に変質した。六節　破滅に瀕した経済神話 ●国と民に害を及ぼす有毒経済・中国の民間にはこんなジョークがある。ある農民が自殺をしようと農薬を飲んだが、死ななかった。なぜならその農薬はニセモノだったから。その後、点滴をしに病院へ運ばれたら死んでしまった。なぜなら点滴薬がニセモノだったから。 ●国内外資金の大流出に加え債務過多の危機・中国共産党の役人、党員が日頃どんなに言葉を尽くして西側を牽制し欧米に唾棄し、文明世界の悪魔であるかのように罵っても、彼らはひそかに自分たちの資産を西側に移し、欧米に投資している。・彼らは巨額の資金を外国経由で「漂白」（マネーロンダリング）した後、さらに「外資」を装ってその一部を中国への投資に向けている。この「ニセモノ外資」と呼ばれるものこそが、中国で外資が増加する偽りの現象を造り出しているのである。七節　民族主義　中国共産党最後のカード ●偽りの孔子信仰　大統一に夢馳せる中国人・毛沢東の死後、共産主義イデオロギーが破綻したため、中国共産党は今度は「愛国主義」を担ぎ出し、極端な民族主義を政府の新しいイデオロギーに奉じた。・中国共産党は外国の脅威を誇張し捏造し、民族主義を借りて民主主義思想を圧倒しようとしている。・何かにつけて国家の安全を理由に言論の自由と人身の自由を制限し、恣意的に人権を踏みにじられている中国人は、中国共産党の洗脳を受け、普段はばらばらで団結することなどないのに、「大統一」に夢中になる。・今の中国人が抱く「大統一」という観念は、共産党が植え付けたものである。・中国人は口では孔子を崇拝すると言い、孔子を聖人だと見做しているが、仁政を説いた孔子は一度も「大統一」を主張したことはなかった。・アジア大陸で初めて大統一をなし得たのは暴君秦始皇帝であり、このことは大統一イコール暴政の代名詞であることの証左である。あとがきなぜ中国人が中国を悪く言うのか　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　陳破空・私は中国ではなく中国共産党を批判しているのだ。・１３億の中国人のほとんどは中国共産党に弄ばれ、苛められ、圧迫を受けている。・ほかの国では国民が政府を監督し批判する権利をもっている。それと同じように、中国の人民にも政府を監督し批判する権利があるはずだ。・民族主義は常に独裁者の手中にあるカードの一枚だが、中国共産党にとってはこれが最後のカードである。熱狂的に見える大中華民族主義も北京がつくり出したものにすぎず、偽りの愛国主義である。・私が中国共産党を批判し、赤い中国を叱咤するのは、「悪口」を言っているのではなく、真実を語っているだけだ。・今日の中国で見られるさまざまな問題の発端は、ほとんどが中国共産党が招いたものである。嘘と暴力、復讐と腐敗が中国共産党がもつ価値観の核心であり、また統治の手段である。・国の指導者がこのような価値観と統治思想をもっているために、民もそれにつき従い、ニセモノ商品や有害食品、手抜き工事から血なまぐさい暴力沙汰にいたるまで、有象無象の醜聞が噴出している。・既得利益を死んでも手放そうとしない中国共産党の腐敗政権は、中国にとって禍害であるばかりか、世界の禍害となっている。・いわゆる中国の脅威とは中国共産党の脅威であり、中国人、日本人、そして世界の人々が直面する共通の脅威なのだ。