【最新更新日　：　2017年03月28日 火曜日 】

２０１７年の読書履歴（2017-28）

★ 評価は、私の独断と偏見でつけたもので、読んだ時点で「ん、これは良かった！」と思った本です。 　　本そのものの良し悪しとはまったく関係ありません。☆はイチ推し、◎は、おすすめの本です。

№	了月	書 籍 名		著 者	出 版 社	評価	コメント＆抜き書きへのリンク
28	17/03		膨張中国	読売新聞中国取材団	中公新書	◎	第１章　新ナショナリズム ２　インターネット管理 地下サイト根絶は困難 ・香港紙によると、当局は一般市民を装って反政府的意見に反論して世論を導く「地下評論員」も育成中という。二〇〇五年夏までに少なくとも一〇〇人以上が育成され、同年四月からは、ネット掲示板などに意見を載せ、政府の意向に沿うよう世論を誘導しているという。 【私見 ： 独裁国家はこれが怖い！】 ３　苦難の歴史を学べ 「愛国」は「愛党」 ・共産党がいま、中国の歴史を支配する。党は教科書や愛国主義教育基地の展示によって、「正史」を自らの解釈、史観で描く。シャワーのような「愛国・愛党教育」が、どこまでも続いていく。 ７　台湾問題と軍拡 「海の長城」構築へ着々 ・中国海軍は、日本列島から台湾、フィリピンに至るまでの島嶼の連なりを「第一列島線」とし、九州南方の東シナ海から台湾周辺海域までの制海権（シーコントロール）の確保を第一目標としている。 ・さらに、その外側の小笠原諸島からサイパン、グアム島にかけて「第二列島線」を引き、米海軍の自由行動を抑える構えだ。 ・台湾が独立を宣言するなど、万一、武力行使しなければならない事態が生じた場合、中国にとって最大の問題は、米国の軍事介入への対処となる。 　中国はその時、�二本の線の内側の海域に、現在開発中の核ミサイル搭載型原潜を展開し、まず、米本土を威嚇することで米軍の介入を防ぐと見られる。 ・中国の戦略は、時計の針を冷戦時代へ逆戻りさせるかもしれない。 ・こうした局面を打開するには、お互いが「手の内を見せ」「誤解を防ぐ」ことで、「戦いが起こることを回避する」方法しかない。 第４章　きしむ周辺世界 １　フィリピンの覚醒剤工場 浸透する闇の勢力 ・高度成長が本格化した九〇年代、中国は覚醒剤の生産基地兼消費地となった。 ・二〇〇五年一～九月には薬物関連で五万人近くを拘束し、覚醒剤約四・五トンを押収した。 ・中国マフィアは、フィリピンに製造基地を移した。 ・国連薬物犯罪事務所は「フィリピンは、アジアで中国に次ぐ覚醒剤の主要供給減となった」と指摘する。 ・中国マフィアは、フィリピン警察より統制が取れ、組織への忠誠心も厚い。工場をすべて摘発しても、今度は、フィリピン領海近くの船上で製造を続ける。 社会むしばむブラックマネー ・中国では、覚醒剤五〇グラム以上の密輸・販売・運輸・製造には十五年か無期の懲役、または死刑が適用される。言うならば、命がけの犯罪だ。フィリピンでも覚醒剤製造は無期懲役か死刑と規定されているが、過去、覚醒剤事件で死刑が執行された例はない。 ・マニラ在住の中国人は「ここは、中国マフィアにとっては何のリスクもない国だ」と言った。中国マフィアが入り込む理由の一つが、ここにある。 【私見 ： フィリピンのドゥテルテ大統領が麻薬犯罪摘発で、数千人を殺害しているとの報道されているが、背景が報道されておらず、人権問題として捉えられている観がある。中国との関係を含めて、麻薬組織全体の中でのフィリピン政府の政策を見ないと真実は見えてこない。】 ７　ＡＳＥＡＮ接近 シンガポールの小さな留学生 ・中国政府は、海外移住者が祖国のために尽くすのなら、政府にも移住者本人にもプラスと考えている。 ・中国出身の有能な人材が海外に広がれば、結局は中国の利益になるとの長期的な考え方だ。 ・一三億の人口を持つ中国にすれば、「小さな留学生（小中学生）」は一滴の水ほどの人の流れにすぎない。しかし、その小さな流れにも、中国の国家戦略は映し出されている。 ８　韓国へ「孔子」送り込み 大衆レベルで深まる交流 ・社会主義陣営の中国と、自由主義陣営の韓国はかつて朝鮮戦争（一九五〇～一九五三年）で血を流し合い、国交を結んだのは冷戦終結後の一九九二年だった。