【最新更新日　：　2018年06月26日 火曜日 】

２０１８年の読書履歴(№52)

★ 評価は、私の独断と偏見でつけたもので、読んだ時点で「ん、これは良かった！」と思った本です。 　　本そのものの良し悪しとはまったく関係ありません。☆はイチ推し、◎は、おすすめの本です。

№	了月	書 籍 名		著 者	出 版 社	評価	コメント＆抜き書きへのリンク
52	18/06		ヒッグス粒子の謎	浅井祥仁	祥伝社新書	◎	序章　「神の素粒子」ヒッグス粒子とは 宇宙誕生の謎に迫る方法 ・望遠鏡は遠くを見るためのものですが、時間を遡ることもできるのです。 ・見える、ということは、光源から出た光が私たちの目に届くことです。この光にも速度があります。 ・つまり、その光源の距離が遠ければ遠いほど到達までに時間がかかる、逆に言えば、過去の出来事が見えていることになるのです。 ・地球から１光年の星を見ている時、その姿は１年前のものです。 ・遠くの銀河を見るということは、古い銀河を見ることと同じなので、その意味で、望遠鏡で調べることはタイムマシンに乗るのと同じことなのです。 加速器とは何か ・宇宙誕生から３８万年後の時点より前は非常に不透明で、光が届きません。それ以前の宇宙をどうやって調べるか。 ・そこで登場するのが、「加速器」というものです。 ・加速器とは、文字どおり陽子や電子といった粒子を加速させることのできる装置です。 ・その加速器を使って光速近くまで加速した陽子や電子をぶつけて、高いエネルギー（温度）状態を発生させ、疑似的に宇宙誕生に近い状況を再現することができます。 ・そこで起こる現象を観測することで、宇宙の歴史や物理法則を研究しているわけです。 物質の最小単位である素粒子の世界 ・宇宙の物質を構成しているものをどんどん細かくしていって、これ以上細かく分けることはできない最小単位を「素粒子」と呼んでいます。 ・この素粒子は全部で１７種類あると考えられており、現在までに１６種類が確認されています。 「神の素粒子」ヒッグス粒子とは何か ・ヒッグス粒子の研究とは、この世の中になぜ重さというものがあるのかを解明することなのです。 第１章　「重さ」はヒッグス粒子から生まれた 　　　　　――物質の最小単位・素粒子の世界 物質はどこまで分解できるか ・素粒子は大きさはありません。 量子力学が支配するミクロの世界 ・波長が短い光で探る小さな世界というのは、「量子力学」が支配する世界です。 ・量子力学というのは、電子などのミクロの物質は、小さな粒でもあるし、波でもあると考えることです。つまり、粒子の性質と波の性質の二重性を持っているというのです。 ４つの力を伝える素粒子 ・光は質量ゼロだから、無限の彼方まで伝わります。 ヒッグス粒子の果たしている役割 ・質量とは何かというと、ふた通りの定義のしかたがあります。 　ひとつは、光のスピードからどのくらい遅くなるかを示す量のことです。「慣性質量」と呼ばれています。 　もう一つは「重力質量」といって、こちらがいわゆる「重さ」です。 「真空」は空っぽでない ・真空は、「空っぽ」ではなく、ヒッグス場に満たされていると私たちは考えているのです。 ・私たちがいくつかの素粒子として区別しているものは、真空の作用のせいで私たちには違って見えるだけで、実際は同じものなのではないか、と考えることができます。 素粒子は人気者？ ・場というのは、ある作用が支配する空間の状態です。物理現象を対象となる “モノ” でなく、空間の性質として考えようというものです。 ・真空がヒッグス場という状態になっていると考えるのが正しい理解です。ヒッグス場は粒子ではなくて場なので、粒の形はしていません。 ・ヒッグス場を取り出したら、ヒッグス粒子になります。あくまでも粒子にならないかぎり、取り出すことはできません 「粒」の物理学から「容(い)れ物(もの)」の物理学へ ・それまでは、物質を作っている素粒子と、力を伝えている素粒子が考えられていましたが、ヒッグス粒子はこれまでの粒子とは本質的に異なる第３極の粒子です。 ・粒子というよりは、これまでの素粒子を包含する容れ物に近いと思います。 第３章　真空は「空っぽ」でない 　　　　　――忙しく働いているヒッグス場の役割 真空には何もないわけではない ・真空とは何もない空っぽの状態ではなく、「ヒッグス場」と呼ばれる状態になっており、そこからヒッグス粒子を取り出すことができる。 第４章　「粒」の科学から「容れ物」の科学へ 　　　　　――素粒子物理学の未来 ＬＨＣ（大型陽子衝突型加速器）でできたブラックホールは地球を飲み込むか ・物質はスカスカで、原子が野球場の大きさだとすると、原子核はピッチャーマウンドの上に置いた１円玉の大きさしかありません。 ２０１２年７月４日、記念すべき新粒子発見の発表 ・ヒッグス粒子が発見されて何の役に立つのかと聞かれても即答できるわけではありませんが、われわれがなぜここにいるのか、という哲学的な課題を解明する一歩を踏み出したということがひとつです。 ・最初に発見された素粒子である電子を研究することでエレクトロニクスが発展しただけでなく、エックス線が医療に使われたり、重粒子がガン治療に使われたりして私たちの暮らしを豊かにしてきました。 　　――　完　――